Anthology Collection
リリースデータ
| 2025年11月21日 | 初登場15位 | 売上0.9万枚 | Produced by George Martin(1,2,3) Additional Production and Mixing by Giles Martin(4) |
ユニバーサル |
メンバー
| Rhythm Guitar | ジョン・レノン(John Lennon) |
| Bass | ポール・マッカートニー(Sir Paul McCartney) |
| Lead Guitar | ジョージ・ハリスン(George Harrison) |
| Drums | リンゴ・スター(Ringo Starr) |
The Beatlesアンソロジーコレクションアルバム。1995〜1996年にかけてリリースされた3作のアンソロジーアルバムの最新リマスターに加えて新規編集の『Anthology 4』を加えた4作8枚組BOX。発売正式発表直前に3作のアンソロジーアルバムの配信音源差し替えや、配信限定の3作からの『Anthology Highlights』の配信が終了、新たに新規編集の『Anthology Highlights』に差し替え配信が開始されるといった公式発表の無い動きもあった。当初『Anthology 4』の単独発売は無いとしていたが、9月半ばになって単独発売が発表された。1,2,3のリマスター盤での単品発売は無い。
日本盤は4作8枚組CD-BOXと『Anthology 4』単独CDのみで日本盤限定でSHM-CD仕様。直輸入盤としてLP-BOX、『Anthology 4』単独LP盤も発売。
1〜3はリマスター+一部楽曲をデミックスで修正しているのもあるようだ。いずれにしてもリマスターで迫力のある音源に生まれ変わっており、デビュー前の録音状態の悪い曲もかなりマシになっているように思う。ビートルズのリマスターは2009年に全曲行ったものが現在でも標準でこの時は過度に持ち上げずにアナログの質感を再現するのに注力していたようだったが、2015年『1』のリミックス&リマスター以降、2017年から始まった後半のアルバムのデラックスエディション、2023年の赤盤青盤リミックス&リマスターと迫力リマスター傾向に変わっており、今作もその傾向。なのでグッと音が大きく迫力増しになっているんだけど、前半のアルバムのまだデラックス・エディションが出てなくて2023年の赤盤青盤に入らなかった曲なんかは未完成デモの今作の音源の方が迫力があるという逆転現象も起こっている印象。
基本的にマニア向けの音源集で個人的にも全て楽しめているとは言い難いところはある。今回はLP迷惑サイズBOXではなく、シンプルなデジパック収納箱でコンパクトにまとまっているだけに22000円は足元見過ぎなのではないかと思う。『4』単品が4400円なので4作で17600円にしかならないはずなんだが、何故か+4400円で5作分なのはおかしくないか。箱代がアルバム1作分4400円相当なのか。これが…?
また2009年のリマスター盤までは続いていたオリジナルライナーノーツとその翻訳とは別の日本独自のビートルズ・クラブによる独自解説が無くなって久しい。今作も旧1〜3にはビートルズ・クラブの詳しい解説が記載されていた。オリジナルよりも分かりやすい文章で音源について説明されているばかりか、どのような音源なのか分類してまとめてくれたりと、音源だけではさっぱりどういう状況の音源なのか分からない今作をガイドしてくれる非常に有意義な内容だっただけに今作のような作品では特にビートルズ・クラブによる独自解説消失が残念。オリジナル解説の訳文は元の文章も分かりにくいのか、かなり読みにくい。話の途中で別の説明を挟むのを"()"ではなく"―"で表現している上に、これのせいで前後の文脈が読み取りにくくなり偉い遠回りで分かりにくい文章になっている部分が多くてさっぱり内容が入ってこない。また『ホワイト・アルバム』のジョージ・ハリスン宅で制作されたデモは自宅の場所から通称"Esher Demo"、日本では"イーシャー・デモ"という表記で一般的になっていたが今作の翻訳では何故か"エシャー"と記載されている。2018年のデラックス盤でも公式表記は"イーシャー"だったのに今作で急に"エシャー"に変えられても…。この辺りの統一感の無さも含めて機械的な翻訳よりもビートルズ・クラブによる渾身の解説を復活させてほしかった。今回だと雑誌や個人の研究家が公開した記事の方が遥かに分かりやすく理解が進む。
印象度★★★☆☆
2025.12.7更新