THANK YOU SO MUCH
No | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 備考 |
1 | 恋のブギウギナイト | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | 7th配信シングル |
2 | ジャンヌ・ダルクによろしく | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ | 8th配信シングル |
3 | 桜、ひらり | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | 9th配信シングル |
4 | 暮れゆく街のふたり | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | |
5 | 盆ギリ恋歌 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | 4th配信シングル アルバムミックス |
6 | ごめんね母さん | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | |
7 | 風のタイムマシンにのって | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | 原由子ボーカル曲 |
8 | 史上最恐のモンスター | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | |
9 | 夢の宇宙旅行 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | |
10 | 歌えニッポンの空 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | 5th配信シングル アルバムミックス |
11 | 悲しみはブギの彼方に | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ | |
12 | ミツコとカンジ | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ | |
13 | 神様からの贈り物 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | |
14 | Relay〜杜の詩 | 桑田佳祐 | 桑田佳祐 | サザンオールスターズ&片山敦夫 | 6th配信シングル アルバムミックス |
strings(3,9,13)&brass(4) arranged by 片山敦夫
※『海のOh,Yeah!!』に収録された「闘う戦士たちへ愛を込めて」「壮年JUMP」が公式ディスコグラフィーから外されたため、配信シングルのカウントは公式と2枚ズレる(なおこの2曲は2019年の公式データブックにはシングルとして掲載されていた)。
No | タイトル | 備考 |
1 | 2024/9/20現地最終リハーサル | |
2 | 2024/9/23当日舞台裏 | |
3 | 女呼んでブギ | 1stアルバム『熱い胸さわぎ』収録曲 |
4 | MC | |
5 | ジャンヌ・ダルクによろしく | 8th配信シングル |
6 | My Foreplay Music | 13thシングル『栞のテーマ』C/W、4thアルバム『ステレオ太陽族』収録曲 |
7 | 海 | 7thアルバム『人気者で行こう』収録曲 |
8 | 神の島遥か国 | 51stシングル両A面曲 |
9 | 栄光の男 | 54thシングル『ピースとハイライト』C/W、15thアルバム『葡萄』収録曲 |
10 | 愛の言霊〜Spiritual Message〜 | 37thシングル |
11 | いとしのエリー | 3rdシングル |
12 | 思い過ごしも恋のうち | 4thシングル(カット) |
13 | MC | |
14 | 東京VICTORY | 55thシングル |
15 | 真夏の果実 | 28thシングル |
16 | 恋のブギウギナイト | 7th配信シングル |
17 | LOVE AFFAIR〜秘密のデート | 41stシングル |
18 | マチルダBABY | 6thアルバム『綺麗』収録曲 |
19 | ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY) | 20thシングル |
20 | 小曲 | |
21 | みんなのうた | 24thシングル |
22 | マンピーのG★SPOT | 35thシングル |
23 | 本編終了、アンコール | |
24 | 希望の轍 | 10thアルバム『稲村ジェーン』収録曲 |
25 | 勝手にシンドバッド | 1stシングル |
26 | 終演〜舞台裏〜観客・メンバーインタビュー | |
27 | エンドロール 舞台裏含む直近のメイキング映像 BGM「桜、ひらり」 |
リリースデータ
2025年3月19日 | 初登場1位 | 売上31.0万枚 | ビクター |
メンバー
Vocal,Bass,Acoustic Guitar,Electric Guitar,Electric
Slide Guitar,Gut Guitar, Ukulele,Conga,Cowbell,Tambourine,Harmonica,Whistle,Clap&Backing Vocal |
桑田佳祐 |
Bass | 関口和之 |
Drums,Backing Vocal | 松田弘 |
Vocal,Acoustic Piano,Piano,Organ,Glockenspiel&Backing Vocal | 原由子 |
Percussion | 野沢秀行 |
サザンオールスターズ16thアルバム。『海のOh,Yeah!!』から6年7ヶ月ぶり、オリジナルアルバムとしては10年ぶり。『海のOh,Yeah!!』以降、翌年の40周年時に配信リリースした「愛はスローにちょっとずつ」は未収録。以降2020〜2022年は新曲発表はなく、桑田、原のソロ作品がリリースされていた。2023年7〜9月に3ヶ月連続配信を行い、2024年6月25日のデビュー記念日に「恋のブギウギナイト」を配信と同時に冬にアルバムをリリースすると発表。7月からパリオリンピックのTBSテーマ曲として使用されていたもののオリンピック期間中に未発売のままだった「ジャンヌ・ダルクによろしく」を9月にようやく配信した際も続報は無かったが、11月に2025年1月より先にツアーを開始して3月にアルバム発売予定としてタイトルが発表された。元旦に「桜、ひらり」が配信された。2023年以降の6配信シングルは全て収録された。
完全生産限定盤AはSPECIAL
BOOK「よむ“THANK YOU SO MUCH” / かたる“THANK YOU SO
MUCH”」、最後の夏フェスとして2024年9月23日に出演した「ROCK
IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA」の模様を全曲収録したBlu-ray付。
完全生産限定盤BはAと同内容のDVD付。A,B同価格で9680円。
通常盤はCDのみ。特典は何も付属しないが3960円と高額設定となった。
アナログ盤は特に限定盤と銘打たれていなかったが発売前に入手困難となった。5500円。
SPECIAL BOOK「よむ“THANK YOU SO MUCH” / かたる“THANK YOU SO MUCH”」は『キラーストリート』以降桑田ソロ含めて続いている楽曲解説の更なる発展形。今回は桑田へのインタビュー形式による全体解説と1曲ごとの解説、さらに録音ミックスを担当した谷田茂、桑田以外のメンバー、斎藤誠、片山敦夫、曽我淳一、角谷仁宣による1曲ごとの解説も別に掲載されている。この解説にはストリングスの金原千恵子とサックスの山本拓夫を除いた各楽曲のレコーディング参加メンバーが解説しているようだが、谷田茂と片山敦夫は全曲に参加している。レコーディングに呼ばれてドラムを演奏したため松田のコメントは載っているが、「桜、ひらり」はそれを元にして全部打ち込みに入れ替えた、「夢の宇宙旅行」も生で叩いたドラムをトリガーで加工して打ち込みに混ぜた、とされている。この2曲のドラムが打ち込みに聞こえるのはそういう理由のようだ。
これにより関口・野沢の参加曲(=メンバー5人が揃っている曲)が「悲しみはブギの彼方に」「ミツコとカンジ」の2曲ポッキリである事が明らかとなった。松田の参加はこれに「ジャンヌ・ダルクによろしく」「史上最恐のモンスター」が加わるのみで「桜、ひらり」「夢の宇宙旅行」は前述のように参加はしたが打ち込みに差し替え処理。原は全員曲2曲以外に「ジャンヌ・ダルクによろしく」「盆ギリ恋歌」「ごめんね母さん」「風のタイムマシンにのって」「夢の宇宙旅行」「神様からの贈り物」にコメントしているがコーラスへの言及ばかりで演奏したと明言しているのは「ジャンヌ・ダルクによろしく」のオルガンくらいしかない。ただコメントしていない曲にそれらしきコーラスが聞こえる曲もあったりもする。
元よりサザンの実態は桑田ソロの制作体制にプラスして原のコーラス参加が増える、松田がそこそこ多くの曲に参加する、関口と野沢は時々参加する…程度な感じっぽい空気は20年以上ずっと漂っており、20年前の『キラーストリート』から本格的に"ベースは私が弾いている by 桑田"が発動するようになったわけだけど、今作はメンバーの参加したらしき曲があまりに少なくなりすぎていて来るところまで来た感がある。桑田クレジットでついに2番手にベースを持ってきてしまうのはいくらなんでもあんまりじゃないかと…。しかもよく見ると関口の得意楽器であるウクレレと野沢のメインの担当分野であるコンガにまで手を出してしまう始末。ただ前2作で頻出していた桑田による"ベースは私が弾いている"発言は今作では「ジャンヌ・ダルクによろしく」「神様からの贈り物」の2曲に留まっており、解説でもベースについてはあまり触れられていない。片山敦夫のクレジットでシンセベースが連発(1,4,5,6,8,10,14)されている事からも少なくとも半分以上はベース打ち込みで済ませていると思われ、桑田のクレジット2番手になるほど"ベースは私が弾きまくっている"事はなさそうだ。
冗談抜きにアルバムはほぼメンバーの関与しないところで完成していて、ライブまでに覚えてきてねと譜面渡されただけ状態なのではないか。松田や原でさえもそれに近い状況だったとは…最悪の想定でも関口・野沢の参加状況は今作の松田と原くらいの参加状況だと思っていた(半分前後くらいには参加)。甘かった。スタジオには桑田・片山とエンジニアの谷田の3人が常駐、曽我と斎藤が頻繁に呼ばれるという体制のようでサザンメンバーを控えメンバーどころかベンチにも呼んでいない状態をはどうかと思う。正直なところ、1度ソロをやってから復活した80年代末期〜90年代前半(小林武史も関わってた時期)からその兆候はあるもなんとか持ち直したところでの大森脱退を機に『キラーストリート』の制作で"ベーわた"(「ベースは私が弾いている by 桑田」) を発動させてからはずっとこんな感じになってきていてファンも慣れてしまっているところはあると思う。実際今作でメンバーが2曲しか揃っていない事に対して指摘しているファンは驚くほど見当たらない。普段細かく聞いてそうなプロリスナーも最早サブスクで音だけ聞いて済ませて解説なんて読んでいないのかもしれないが、今作のように不参加が明示されている状況でサザン凄い!サザンやっぱ良い!と桑田ソロよりもなんか賛辞を送っている光景は違和感がある。マジか。他のバンドで"ベーわた"乱発されたらもう少しざわつきそうなもんだけど、"サザンオールスターズ"名義で桑田が歌っていればソロ名義よりもやっぱサザンは最高だぜになるのか。"レコーディングは音楽制作の場であってバンド活動ではない"という発言もあったらしいが…。
そんなわけで今作は直近の桑田ソロと地続きで繋がった1作であり、"前作"は『葡萄』ではない。今作の直接の"前作"は『いつも何処かで』の新曲群であり、『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き
feat. 梅干し』であり、フルアルバムなら『がらくた』である。今作が『がらくた2』としてソロ名義で出されても誰1人疑問に思わないだろう。『がらくた』で片山敦夫の名前がより前面に出るようになり右腕どころか最早桑田&片山のユニットと言える状況へと変化した。これに伴い、新鋭だった曽我淳一の出番が激減し一時完全に消える事となったが、『婦人の肖像
(Portrait of a Lady)』に全面参加した流れで『いつも何処かで』新曲群で曽我淳一が復帰。また録音ミックスのエンジニアも『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き
feat. 梅干し』辺りから谷田茂に交代し、マスタリングは『いつも何処かで』で新参加の吉良武男が多くの曲のリマスターを担当した。曽我淳一、谷田茂、吉良武男全てそのまま今作に参加しており、今作は『いつも何処かで』の体制がそのままスライドした形だ。変わったのはサザンオールスターズのメンバーが一部の曲に参加した事。サザンメンバーがゲストミュージシャンじゃねぇか!!
そんなわけで『がらくた』『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』に続く桑田ポップアルバムとして安定の作風。『葡萄』以降の昭和歌謡臭強め傾向がここに来て薄まり日本人が好きな日本人向けの大衆ポップスにもう少し広がった。期待通りの桑田佳祐らしいポップアルバムである事には違いないが、期待以上ではないし、やはり打ち込みが多すぎるのは気になる。片山敦夫とベッタリになりすぎてしまったのが大きく影響しており、片山敦夫が最も桑田の頭の中で鳴っているサウンドを素早く具現化できる事から重宝するようになってこうなってしまったんじゃないかとも思うんだけど、もう少しバンドメンバーを信頼してもいいのではないか。特に今回はライナーで桑田がギター構えていつでも弾く気満々だったのに無視して片山がギターまで打ち込んでしまった(恋のブギウギナイト)とか、片山による打ち込みベースで処理していたのを生にしようかとなった時に打ち込みをコピーするのは難しいと思っていたら是非ともやってください!という目ヂカラで押し切られて桑田がベースを弾いた(神様からの贈り物)とか、笑い話っぽいエピソードとして語っているんだけどちょっとあれれ?っていうところではあった。
確かに今作でサザンメンバーが揃った2曲は最初期のサウンドを再現したような曲なので素朴であり地味であり、世間が求めるサザン像ではないかもしれない。しかしそれは桑田がサザンメンバーの技量ではそこまでしかやれないと決めつけているのと誰も意見しないからであって、その気になれば"サザンオールスターズ"はもっとやれるんじゃないだろうか。そしていつ最後になるかも分からないんだったら、今こそもっとメンバーで作り込んだ音源を残しておいてくれないものか。これが"サザンオールスターズ"最後のアルバムになってほしくはないが、もしそうなってしまうならレコーディング現場としてのサザンオールスターズはもうとっくに終わっていたのだろう。
ROCK IN JAPAN FESTIVAL
2024 in HITACHINAKA
2024年9月23日に出演した最後の夏フェス映像をフル収録。前作より大幅に値段が跳ね上がっただけの事はある完全収録で前後の舞台裏映像もついてくる豪華仕様で大満足の構成。ほぼワンマンライブ級の2時間近いライブが繰り広げられる。有名代表曲を中心にしつつもファンしか知らないような曲も織り交ぜ、客層が違うであろう若者中心でもしっかり盛り上がる。まだまだ勢いの衰えない圧巻の桑田パフォーマンスが何よりも前面に出ていて、サポート含めて全員桑田のバックバンド状態ではある。それでもCD本編では最早終わっていると言っても過言ではない状況になっていてもライブにおけるサザンオールスターズはバンドとしてしっかり現役であり、もちろんサポートもいてその比重も大きいが、全曲に原由子がいて、松田弘がいて、関口和之がいて、野沢秀行がいてそれぞれの担当楽器をしっかり演奏している。これが"サザンオールスターズ"であり、最高のライブだ。
この真・サザンオールスターズをアルバム本編でもっと聞きたかった。この映像では「ジャンヌ・ダルクによろしく」「恋のブギウギナイト」は真・サザンバージョンといえる全員参加の演奏で聞けるわけだけど、普通にこれではダメだったのか。「恋のブギウギナイト」は全面打ち込みのバンドバージョンだけど、"べ―わた"発動曲(「ベースは私が弾いている by 桑田」の略)の「ジャンヌ・ダルクによろしく」は全員が参加したこのバージョンで十分にカッコいいし、"べ―わた"になったところで正直パッと聞いて違いなんて分からないし、違いがあったとして少なくとも関口ベースが曲の足を引っ張るわけでもない。そんな細かいこだわりよりサザンオールスターズがサザンオールスターズとして全員揃っていた方が遥かに絵になる。
一方で完璧主義的な桑田の様子は冒頭に収録されている現地最終リハーサル時の映像で少だけ垣間見る事が出来る。「愛の言霊〜Spiritual Message〜」の間奏が気になったらしく、急遽1人観客席から何かが違うとメンバー&サポートメンバーに何度も指示を出して試しているんだけど、特にメンバー側から提案や意見があるわけでもなく、ただ桑田が納得するまで複数のパターンの試し演奏を延々続けて桑田納得を待つっていう。良くも悪くも圧倒的カリスマのワンマン経営気質なところから、レコーディングにおけるメンバー演奏には段々満足できなくなってしまい、今作で行きつくところまで行ってしまったんだろうなと改めて思った。
完全生産限定盤A(Blu-ray付)
完全生産限定盤B(DVD付)
通常盤
アナログ盤
印象度★★★★☆(あくまで桑田ソロとして。サザンオールスターズのアルバムとしては…文字通り"名ばかり"だし…。)
2025.4.27更新