Mrs. GREEN APPLE

Strings&Horn Arrange:高橋諒(9)
Strings Arrange:中西亮輔(2,6,8,12)、伊藤賢(3)
Trumpet Arrange:中西亮輔(2)

リリースデータ

メンバー

Mrs. GREEN APPLE2ndアルバム。1年ぶりのアルバム。前作以降の2シングルを収録。各シングル2曲収録されていたC/Wからは1曲ずつ収録された。「鯨の歌」はリード曲としてMVが制作された。初回盤には「AKASAKA BLITZ HALLOWEEN 2016〜Mrs. FANCY PARTY〜」から5曲のライブ映像と「Mrs. はじめての5人旅」を収録したDVD付。16Pカラー絵本が付属するPicture Book Editionも完全生産限定盤として発売された。

最年長の��野清宗は91年生まれだが、ボーカル大森元貴とギター若井滉斗は96年生まれで発売時点で20歳。昨今実はもうアラサーになっている若手扱いのバンドが多いが、Mrs. GREEN APPLEの場合10代でメジャーデビューしたという正真正銘の若手バンドである。

ここまで年下のバンドの曲を聞くのは完全に初めてとなる。たまには少し新しいバンドに触れてみようというのと、時系列としては今作の後だが、ドラマ『僕たちがやりました』OPでこの次の次のシングルが起用されていたので名前を知った。ただ主題歌がDISH//でそっちの方がドラマと密接にコラボしたりしていた上に若者の高音系アップナンバーという共通点から昨今のライブ盛り上がり前提系新鋭バンドの印象がざっくりしすぎ印象がごっちゃになってしまい、ドラマ自体の印象もそこまで良くなかったのでとりあえず名前を把握する程度に留まった。ただそれで彼らを聞いてみようと思ったのは前述のように彼らの若さ。96年生まれとかだともう90年代をリアルタイムに体感していない。96年生まれだと99年の「だんご三兄弟」辺りがかなり初期の記憶としてあるかないかくらいなんじゃないかという年齢だ。ミリオンセラーが当たり前のあの時代を体感していない世代が作る音楽とはどういったものなのか。恐らく完全についてはいけないが、これを否定から入るのではなく好意的に聞いてみたい、と考えた。

Mrs. GREEN APPLEのサウンドからはまさに新世代、次世代といった空気がビシバシ感じられる。全体にシンセを多用し、電子音でもって高揚感を煽ったり、よりスピーディーさ、派手さを出している楽曲が中心。もう今のやり方を自然にやっているというか、要するにCDミリオン売るとかそういう時代を知らないのでライブ中心の考え方。「FACTORY」のように盛るのではなく抑えに徹した曲やアルバムならではの電子音に振り切った「うブ」みたいな実験曲みたいな曲もあるけどじっくり聞くというよりも細かいことは抜きにしてライブで盛り上がるのが前提のようなアッパーな曲が中心。

高揚感を煽る電子音は慣れないとかなりうるさく感じてしまうし、裏声連発の高音キンキンなボーカルスタイルにしてももう少し抑えた方が好みだなと思うところもある。「鯨の歌」なんかかなりの名曲だと思うけど奇声気味なまでに裏声と地声の境を行き来するサビの高音連発は聞いてても少し息が止まるような苦しさがある。これこそ特色の1つでもあるが諸刃の剣っぽくもあり、若さに任せた勢いっぽいのでかなり早い段階でこのキーで歌えなくなりそうなくらいギリギリを攻めているようにも感じられる(30代とか40代になってもこのキーで声が出るなら相当凄いボーカリストだと思う)。でも全体に通じる爽快な勢いは非常に聞いていて気持ちいい部分も大きい。これこそが同世代の若者にとっての次世代型のポップでキャッチーなロックバンドといった佇まいなんだろう。この圧倒的なまでの次世代バンドっぽさは彼らの最大の魅力だと思う。

また20歳くらいだともう少し粗削りだったりすることが多いが彼らはけっこう20歳にしてはちゃらついた雰囲気も無く歌詞の雰囲気もしっかりしている。ただ万人受けは難しそうでもあり、老若男女のうち、「老」に当たる彼らよりJ-POPリスナー歴の長い年上を中心に昨今のライブ中心の早くて忙しない音楽に馴染めないとたぶん刺さらないとも思う。若けりゃ万人受けというのでもなく、あまり90年代からのJ-POPに親しみすぎているとやはり毛色が違うので好みが分かれてくるところもあると思う。個人的にも世代は完全に外れているし、物凄く好みというわけでもない。ただORANGE RANGEまでは若者が天下をとれる時代だったように、本来こうして次々新しい世代が出てきて少し年下の世代を引っ張り、古い世代はミュージシャンもリスナーも大御所化して時代が移り変わっていくべきだったとも思う。彼らは10歳近く年下の文字通りの次世代のバンドとして非常に頼もしく好感が持てるバンドだ。どうなるかは分からないけど今20歳でこのまま更に磨かれていくなら…なかなか楽しみだと思う。

初回盤DVD付　　通常盤　Picture Book Edition　

印象度★★★★☆

2018.1.18更新

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