miwa

Live Arrangement:eji(4,8,11,15)

リリースデータ

miwa3rdベストアルバム。15周年記念ベストアルバム。エモーショナル曲を集めた『mi』、チルアウト曲を集めた『wa』の2枚変則発売。選曲はオールタイムとなっているが、"過去に発売されたアルバム『miwa THE BEST』や『miwa ballad collection 〜graduation〜』には収録されてない曲がほとんど"とされていて、実際に2作と重複しているのは『miwa THE BEST』の「ヒカリヘ」1曲ポッキリとなる。「Our time-miwa ver.-」は佐久間みなみ feat. miwaの名義でコーラス参加した提供曲のセルフカバー。DISC-2は4曲がビルボードライブで演奏していたアレンジに近いClassic StudioLive ver.と題されたクラシックスタイル(ピアノ、ギター、ヴァイオリン、チェロ)による新録音スタジオライブ音源。ラスト2曲のSelf Recordingはデビュー前2007年に自分でレコーディングしてライブハウスで手売りをしていた自主制作両A面シングルCD収録の2曲を当時の音源のまま収録。

新録音以外では「Wake Up,Break Out!」「あなたがいないと世界はこんなにつまらない」、「リアル」「そばにいたいから」「あまやどり」「すべて捨てても」がアルバム初収録。また『miwa THE BEST』以降の配信シングルはほとんど選曲されず、シングルCD表題曲でも26th「ティーンエイジドリーム」、28th「神無-KANNA-」、30th「ハルノオト」は未収録となった。

初回生産限定盤Aはエモーショナル曲を集めたCD『mi』+「miwa Billboard Live Tour 2024 “miwa CLASSIC �W”」収録Blu-ray。7700円。
初回生産限定盤Bはチルアウト曲を集めたCD『wa』+「miwa散歩 2024ver.」収録Blu-ray。7700円。
通常盤は『mi』+『wa』のCD2枚組。4180円。通常盤においては『mi』盤と『wa』盤に分ける表記は一切なく、単にDISC-1とDISC-2、両ディスクとも『miwa/miwa』とタイトル印字されており、帯にのみ『mi』+『wa』である旨が記載されている。
配信版は別作品扱いで『mi』、『wa』が個別に配信されている。

近年はCDの内容は同じで映像(Blu-ray)が違うA,Bの複数商法を行っていたが、今作は特典違いで何枚も買わせる複数商法に一石を投じるような新パターン発売といえる。ただし、これをやるとAとBに一切の重複がない完全別商品であるため、O社でも見事に3作別々にランクインする事態となり、悲惨な順位・売上枚数となってしまった。3種合算した場合は初動0.5万枚となりこの週では初登場18位相当だった。

ヒット曲は基本的に『miwa THE BEST』までの時代にほぼ集約されているが、極力被りを省いた選曲となりそのまま収録されたのは「ヒカリヘ」だけ、別バージョンでデビュー曲「don't cry anymore」を新録音した程度で、『miwa THE BEST』の時期はC/Wとアルバム曲中心。そして『miwa THE BEST』以降は比較的シングル多めにはなるが網羅はされておらず、全体的に知名度低め&アルバム曲多めという割とマニアックなベストアルバムになった。またDISC-1は2022年の『Sparkle』までで出尽くしているのに対して、DISC-2は半数以上が『Sparkle』以降の最新曲となっている。

『mi』
エモーショナル曲という事で基本的にはロックナンバー中心。ベースやドラムの打ち込みロック(省エネモードでNAOKI-T1人オケ制作)もあるが、基本的にはバンドサウンド主体となっているが、なんだかんだ5,6,7,10,11,12,14,16,18,19と半数程度はドラム打ち込み。

『miwa THE BEST』の収録範囲のC/W、アルバムからの選曲は1st〜3rdアルバムに集中、一転して4thからは1曲も選ばれず、5thは2曲。4thは特にシングルが大量に収録されてアルバム曲が数曲しか無かったのもある。エモーショナルがテーマだとギターロック路線に集中するがこれは初期のメイン路線だったのでこうなるか。3rd…というか「ヒカリヘ」ヒット以降にロックよりもアイドルポップ寄りかエレクトロ方面に傾倒していってロックをほとんどやらなくなったのでそもそも選べる曲が一気に少なくなる。それだけにむしろ今になってエモーショナルをテーマにロック路線中心のベストアルバムを制作するとは思わなかった。

必然的に勢いのある曲が多く、有名曲の少ないベスト盤ながらノリが良くて聞きやすい。アルバム曲は比較的当時アルバムのリード曲や代表曲になっていた曲が多いし、『miwa THE BEST』のモアベスト、もしアルバム曲まで対象にしていたら選曲されていたであろう曲が順当に並んでいる。またアルバム初収録のC/Wもロック路線でいいものが多く、改めてこの初期路線良かったなと思う(『wa』盤も含めてだけどQuatre-M=Bluem of Youth松ヶ下宏之のアレンジ曲の方が丁寧な音作りで好印象)。「ヒカリヘ」はエモーショナルではないし毛色が違うように思うし、『wa』にClassic StudioLive ver.で入れるならこっちには入れなくて良かったと思う。唯一『miwa THE BEST』と被せている事からも最大の代表曲だから入れたんだとは思うけど、今更「ヒカリヘ」1曲にそこまでの訴求力無いと思うんだが…。

『wa』
チルアウト曲となっているが、"落ち着いた曲"と訳したようなミディアム〜バラードで音数少なめのアコースティックナンバーやライトな打ち込みポップ中心。なおバラードベスト『miwa ballad collection 〜graduation〜』とも被らないようにしているため本格的なバラードは少なめになっている。バンドサウンドは少なく、ドラム使用のバンドサウンドは3,9,10,13,14,16に留まる。

15周年でエモーショナルに対になるのはクールとでも称してエレクトロ路線中心の選曲をするなら分かるが、まさかごっそり省くとは…。軽めのロックでもポップでもない文字通り普通に"聞かせる曲"中心だがこれで80分ギリギリはかなりしんどい。そんなにバラードでじっくり聞かせる曲で評価が高いタイプでもないし、勢いで聞ける『mi』と違って馴染みの薄いミディアム〜バラード系で音数も薄めの楽曲群が続くとちょっとかったるくなってしまう。先行の「リアル」とか「それでもただ」とか新しい曲では光る部分もあっただけにそういった曲も少し埋もれてしまうような選びすぎな構成になってしまったと思う。

全体の音楽性の変化としては「ヒカリヘ」のヒットを受けた3rdアルバム『Delight』以降エレクトロナンバーが増えてロックナンバーやギターを生かした曲は絶滅する勢いだった。しかし今作はロックとチルアウトで分けたため、エレクトロ系はほとんど入っていない。『Delight』以降のアルバムリード曲「Delight」「SPLASH」「Sparkle」「GIRL CRUSH」がことごとく選ばれていないのはエモーショナルでもチルくも無いエレクトロ寄りだったというのもあるにしても海外サポートを入れていた「ONENESS」くらいは『mi』に選曲しても良かったようには思う。ビジュアル面では完全に原点回帰だし、方向性でもここに来てシンプルにギター中心の良さに気づいたり、色々考えが変わって今後はギター回帰の可能性も示唆しているという事なんだろうか。直近の『Sparkle』は先行のシングル以外全部エレクトロ、『7th』に至ってはついにバンドサウンドゼロになっていただけに、直近のメイン路線から外れるテーマ2つを掲げたベスト盤はかなり意外だった。本人は洋楽志向も以前から語っていたし、カナダ移住で洋楽志向を全面展開して年齢不詳の髪色ビジュアルと共に新路線を爆走するつもりだと思っていたが、これは今後が読めなくなってきたぞ…。

初回盤A『mi』　　初回盤B『wa』　　通常盤　

印象度★★★☆☆(『mi』★★★★☆+『wa』★★★☆☆)

2025.5.17更新

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