あの頃がいっぱい〜AKB48ミュージックビデオ集〜

リリースデータ

メンバー
2017年9月1日現在のAKB48グループ(AKB,SKE,NMB,HKT,NGT,STU)全メンバーをチームごとに表記、卒業メンバーの記載は無し
(そもそもMVに不参加のメンバー、参加しているのに卒業していて非掲載のメンバーが多すぎるのでここでは掲載略)

AKB48、4thMV集Blu-ray、DVD。前3作の続編で"いっぱい"シリーズとしては3作目。32nd〜48thシングルに収録された全MVを収録。C/W曲で後からMVが制作された楽曲のうち「LOVE修行」はMVが収録された34thシングルの位置に収録された。6thアルバム『ここがロドスだ、ここで跳べ！Type-A初回盤DVDに収録された6曲はCD音源の収録位置に配置された。

前作同様にシングルに収録されていても姉妹グループ(SKE,NMB,HKT,NGT,STU)名義の楽曲は全て未収録。乃木坂46、欅坂46とのコラボ楽曲はAKB48メンバーも参加しているため普通に収録されている。また前作では収録されていたパチンコ&通販限定でリリースされたチームサプライズでの楽曲でこの期間に発売されていた「バラの儀式」公演16曲は未収録となった。じゃんけん大会の優勝特典がソロデビューになってからの渡辺美優紀「やさしくするよりキスをして」、2〜16位メンバー歌唱のC/W「春風ピアニッシモ」、藤田奈那「右足エビデンス」、2〜16位のメンバーが歌唱しているC/W「君は今までどこにいた?」、1〜7位のじゃんけん民「逆さ坂」、8〜16位のC/W「奇跡のドア」も全て未収録。

今作は生写真封入の特典がない。またジャケット写真、ブックレットは全て横山由依が楽屋、握手会を始めとした仕事の舞台裏などで撮影した写真を使用しており、プロのカメラマンがアートワークに一切参加していない。ブックレットには全メンバーの1人ずつの写真がズラリと配置され、ローマ字で名前も表記されている。STU48のみは数名ずつのため名前の記載がない。

COMPLETE BOXはBlu-ray,DVD共に6枚組。Type-A,Bはそれぞれ3枚ずつに分割したもの。今回は抜粋して廉価設定にしたベストセレクション盤は存在しない。ピーク時にリリースされた前々作は合わせて50万越え、前作では10万弱まで下げながらも全タイプがトップ10入りしていたが、今作では数千枚程度の売上に暴落。COMPLETE BOXが音楽Blu-rayチャートで1位を獲得したものの(敵がいないラッキー1位)、DVDはトップ10落ちとなり、分割したType-A,Bは音楽チャートではBDトップ10圏外、DVDトップ30圏外となり、総合チャートでの順位が3桁レベル、ランクイン1週のみとほとんど売れなかった。

2013年8月〜2017年6月までの作品が収録された今作。「恋するフォーチュンクッキー」からもうそんなに経ったのか…と遠い目になってしまうが、そういえばこの曲には篠田麻里子が最終参加していたんだった。発売時点では既に卒業しており、発売前のTV出演期間がそこそこ長かったため篠田麻里子が卒業直前にもTVで何度か披露されていたはずだが、すっかりこの曲に篠田麻里子がいるイメージが消え去っていた。

基本的に今作は大きくなりすぎたAKB48が完全にJPN48化から戻れなくなった、すなわちAKB48ではなく48グループオールスターになっていった時期に該当する。実際にそれまではクレジットに参加メンバーの所属グループをきちんと表記していたが、シングル「ラブラドール・レトリバー」からは所属グループ表記を廃止。名義が「All Stars」になってしまい、ただ名前が並ぶだけとなってしまい、どこの所属なのかが関係なくなってしまった。また選抜に入れなかった次点メンバーによるアンダーガールズも総選挙時にその名を残すのみとなって完全消滅(2017年時点で「アンダー」の名称を継続して使用し続けているのは親戚の乃木坂46だけ)。都度色々な名称のグループを作ってはいるものの、1発限りの企画ばかりでバラエティ豊かではあるがこれではほとんどメンバーが印象に残らない。

ごく稀に純AKB48だけの選抜をやることもあるとはいえ、純AKB48の多くの非選抜メンバーの参加曲はチーム曲が最後の砦となった。しかしこれも1，2曲やったらすぐに組閣してバラバラにしてしまうので誰がどこにいるのか全く印象が固まってこない。さらに姉妹グループのエース格を続々兼任させたため、選抜だけでなくチーム曲まで前列が松井珠理奈、山本彩、宮脇咲良ばかりという…。さすがにチームとして行う劇場公演にもほとんど出演せずにただチーム名義の曲の時にセンターを陣取るという状態が続くのはメンバーもこれはおかしいと感じていたようで松井珠理奈、山本彩は相次いで自ら兼任を蹴る形で解除させたがその頃にはもうチーム曲があるかどうかも微妙な状態に…。唯一チーム8は独立して稼働しているが、逆に別グループ状態。47人もいるので常に大集団としてしか認識できず、曲は残ってもメンバーが全く分からない…。

と、AKB48としては正直けっこうどうしようもない状態にはなっているものの、MVと曲自体は多少のマンネリというか飽きはあってもいいものは相変わらずそろっているとは改めて思った。また苦しい状況の中でもAKB48の若手を押し出そうと努力してきた形跡も連続で見るとより鮮明になってきて面白かった。

特に大和田南那は研究生時代にいきなり純AKB48楽曲「Party is over」でセンターに抜擢するとしばらくかなりの高待遇が続く。ほぼ同時期のてんとうむChu!メンバーも期待の若手だったようでこの中でAKB48所属である小嶋真子、岡田奈々、西野未姫も若手選抜になると常に前の方に出てきていた。しかし大和田南那は総選挙での伸びが全く無かったためか、徐々に若手でもその他大勢へ下がっていき、末期はチーム曲の片隅にいたかもしれないレベルにまで下がってしまい存在を確認するのが至難になり、最後の方では消えてしまう。ここまでの派手な育成失敗っぷりは今作のポイントの1つだけど、大和田南那は完全に消えたというか16年11月に卒業を発表し、17年3月に卒業していたらしい。物凄いデビューだったのに…。

小嶋真子、岡田奈々、西野未姫のうち西野未姫はかなり早い段階であまり前の方では見かけなくなるがやはり大和田と同時期に卒業してしまったようだ。また大和田がフェードアウトしていくのとクロスするように押され出した向井地美音は「翼はいらない」でいきなり表題曲センターになり一挙若手筆頭格に。向井地は篠原涼子主演で映画化までされた人気ドラマ『アンフェア』で篠原涼子の娘役を演じていた子役出身で特徴的な唇は幼き頃から変わっておらず、雪平(篠原涼子)の娘がAKB48のセンターになってる！と驚いた。

小嶋真子、岡田奈々は安定して押され続けていて若手やチーム曲での最前やセンター経験は多いものの選抜になると途端にどこにいるのか分からなくなってしまう。既に20歳前後になっているので、間もなくもっと若手を押すようになって現状これ以上人気が伸びたり存在感が増しそうな様子はない…と、若手売り出しの変遷も見どころの1つだと思う。

表題曲センターにした向井地美音はともかく、若手筆頭格の大半がC/Wで活躍しているだけで表題曲になると選ばれていても遥か後方で全く映ってこないので把握しようがない。小嶋真子、岡田奈々、入山杏奈、高橋朱里、加藤玲奈、田野優花、武藤十夢とか10代若手として扱われていた面々も20代に突入してきていてアイドルとしては最も旬な時期を迎えているはずが、C/Wが中心の場のままというのは本当にもう少しどうにかならないのか…。木�ｱゆりあもわざわざSKE48から移籍させたのに復活させたチーム4を峯岸と盛り上げるとか若手育成に携わっている間に、結局選抜の最前は「僕たちは戦わない」程度のまま卒業してしまったし…。

座談会は前作同様にちゃんとしたスタジオでシングルごとに1曲ずつ振り返る形式。組み合わせが6パターンしか無かった前作と違って、2人重複などはあるが3人全く同じ組み合わせというのは1度もない。また全曲を知っているというのは不可能で、主にチーム8の楽曲になるとチーム8が3人の中にいない限りは3人全員が見た感想をそのまま言うしかなくなるとはいえ、最低でも1人1曲は撮影時の思い出を話せるメンバーを選んでいるようなのでけっこう面白かった。いきなりセンターになった大和田南那の逸材(当時)っぷりとか、リスナーの間でも散々言われた「希望的リフレイン」のMVで歴代センターがリレーしていくのに内田眞由美だけ外されたという話を宮崎美穂がバッチリぶち込んできたり、純AKB48メンバーしかいない曲にやたら反応してこの曲は純AKB48だ！と盛り上がったり、既に姉妹グループに完全移籍していてチーム8に対してほとんど関わりも興味も無さげな大場・鈴蘭の2人は物凄く客観的に別グループみたいだとコメントしたりと黒歴史とまでは言わずともそこ一応タブーじゃなくて触れていいんだ…という話題がけっこう出てくるのも面白かった。

ジャケットとフォトブックは…総監督1人に300人以上を撮影させてこさせて経費浮かせた感じが…。これ撮影手当はちゃんと横山由依に特別支給されるのだろうか。別に横山はカメラが趣味とかでもないと思うんだけど(すっかり干されながら独自の活動を繰り広げている竹内美宥は確かカメラもこだわっていたはずだが…)、誰だか分からない形相をしていたり、映りが悪かったり、遠すぎたりするメンバーも多い。しかも全員ローマ字表記というのは悪手すぎる…。

次回作が出る頃にはさすがに現在最前にいる面々は軒並みいなくなっているはず。果たしてどう変わっていくのか興味深い。

COMPLETE BOX(Blu-ray)　　Type-A(Blu-ray)　　Type-B(Blu-ray)

COMPLETE BOX(DVD)　　Type-A(DVD)　　Type-B(DVD)

印象度★★★★☆

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