いきものがかりmeets

No タイトル 作詞 作曲 編曲 原曲
1 花は桜 君は美し
/Awesome City Club
水野良樹 水野良樹 atagi,KOHD(agehasprings) 8thシングル
2 ノスタルジア
/幾田りら
水野良樹 水野良樹 中野領太(agehasprings Party) 17thシングル
3 コイスルオトメ
/SUPER BEAVER
水野良樹 水野良樹 SUPER BEAVER 3rdシングル
4 月とあたしと冷蔵庫
/緑黄色社会
山下穂尊,
吉岡聖恵
山下穂尊 穴見真吾,LASTorder 2ndアルバム『ライフアルバム』収録曲
5 SAKURA
/梅田サイファー
水野良樹,
peko,KOPERU,
KennyDoes,
teppei,テークエム
水野良樹,
Cosaqu
Cosaqu 1stシングル
6 茜色の約束
/TOMOO
水野良樹 水野良樹 小西遼(象眠舎,CRCK/LCKS)
編曲補:高井天音
7thシングル
7 帰りたくなったよ
/上白石萌音
水野良樹 水野良樹 佐藤直紀 9thシングル
8 ブルーバード
/yama
水野良樹 水野良樹 tofubeats 10thシングル
9 じょいふる
/アイナ・ジ・エンド
水野良樹 水野良樹 西田修大 15thシングル両A面曲
10 YELL
/ゆず
水野良樹 水野良樹 トオミヨウ,ゆず 15thシングル
11 なくもんか
/伊藤沙莉×ハンバート ハンバート
水野良樹 水野良樹 佐藤良成 16thシングル
12 笑顔
/wacci
水野良樹 水野良樹 久保田真悟 (Jazzin'park) 26thシングル

リリースデータ

2024年2月14日 初登場17位 売上0.65万枚 Epic Records

いきものがかりコラボレーションアルバム。実態としては12組のアーティストによるカバーを収録したトリビュートアルバムだが、公式に"新解釈コラボレーションアルバム"と称され、"楽曲を主人公に作品の新たなストーリーを見出すべく、12組の素晴らしいアーティストたちと出会い、新たな息吹がもたらされることでその魅力が拡張される、楽曲×アーティストの新感覚コラボレーションアルバム"と形容されていて、「カバー」「トリビュート」といった言葉が使用されていない。いきものがかりの作品の初回特典として封入されてきた「いきものカード」は今作にも通算番号065が封入されており、いきものがかりの公式作品として扱われた。初回盤はスリーブケース付、いきものカード065封入。初回スリーブは公式に掲載されている通常盤(及び初回盤の中のプラケース)のジャケットとは全く異なる完全な別デザインとなっている(店舗別特典のオリジナルアナザージャケット、キーホルダー、缶バッジと同じデザイン)。

基本的に今作の売り出し方は前年にリリースされたユーミン乾杯!!』を参考にしていると思われ、コラボレーションと言い張るところや"サウンドアレンジはもとより、楽曲構成や歌詞にいたるまで、改変自由。"とあらかじめ相手に伝えてルール化している点には共通項がある。ただし内容は異なり、今作はトリビュートアルバムの言い方を変えただけに近い。実際に改変自由としたもののクレジットに共作名義で名前が入るほど本当に新たな歌詞やメロディーを加えたのは梅田サイファー1組であった。

いきものがかりメンバー吉岡聖恵・水野良樹はメンバーとしてのクレジットがあり、一部楽曲に参加しているとされていたが、実際に参加しているのは吉岡聖恵が「SAKURA」のボーカル(梅田サイファーのメンバー(作詞の5人)は全員MC扱いなので吉岡単独ボーカル表記)でサビを全て歌唱、「YELL」にAdditonal Vocalとして2人で参加している程度。加えて水野良樹が『〇』に続いて「帰りたくなったよ」(上白石萌音)、「なくもんか」(伊藤沙莉)といった俳優2名のVocal Recording Directerとして参加している。

物は言いようだなぁ…というのが正直なところだが、いきものがかりはデビュー当時より水野が何度も繰り返し楽曲至上主義である事を語りまくってきていたので、カバーしてもらうというのが楽曲と他アーティストのコラボだとする主張は筋は通っている…が、昔から水野良樹のそういった主張を読んで理解していないと今作は誤解しか生まないと思う。何せ"コラボ"なのに吉岡の声がほぼ入ってないのである。説明をよく読まずコラボの字面だけで吉岡のボーカルと各ミュージシャンの文字通りのコラボ歌唱を期待して聞くリスナーも当然出てくるだろう。

そんなわけで今作は過去にいきものがかりが参加した『14プリンセス〜PRINCESS PRINCESS CHILDREN〜』、『JUDY AND MARY 15th Anniversary Tribute Album』、『私とドリカム』と同種のいわゆる普通のトリビュートアルバムである。あらかじめ改変自由としてお願いしたようではあるんだけど、多くの参加者にとってはいきものがかりは既に大ベテラン、大先輩である。改変自由の言葉を真に受けて好き放題改変しまくるような大胆な事が出来る後輩はなかなかいなかったようで、単に人件費をかけずに打ち込み主体でアレンジが軽くなったというある意味での「改変」はほとんどのカバーに見られるものの、原曲を丁寧に壊さず歌唱した人たちばかり。幾田りらソロではなくYOASOBIであればチュウオチュウオフリーウェイ♪ばりにAyase氏が作詞作曲に名前を連ねて改作していただろうけどYOASOBIだと小説を別途用意献上しないとやってくれないのでそこまで手間をかけられなかったか

梅田サイファーは吉岡ボーカルのサビのみ残して後は全部好き放題に書き下ろしたラップをするという最も大胆な改変を行っているが、ラップグループに依頼した時点でそのような改変は既定路線。ラップグループなのにラップせずに全編真面目に「SAKURA」を歌えという方が無理があるのでこのカバーに関してはこのくらいはやるしかないところもあったと思う。サビ以外を全部置き換えた新規のラップ詞は桜の季節という以外にほとんど原曲の要素が無くて情緒も何もあったものではなくファンには叩かれそうだが、たぶん要望に応えただけなのであまり文句言わないであげてほしそんな中で"改変自由"を自分たちのフィールドに寄せて見事にやってくれたのは路上出身者としてメンバー憧れの存在であったゆず先輩。なんとゆずパイセン、大バラード「YELL」をアップテンポに大胆改変。しかしこれが意外な事にセツナ系アップテンポとして生まれ変わり、奇跡の大成功「YELL」にこんな可能性があったとは思わなかった。ゆず先輩パネェっすわ…。この曲にはメンバーもコーラス参加しており、これぞ"新解釈コラボレーション"、これぞ『いきものがかりmeets』である。ゆずパイセン1組でコンセプト全部持っていっちゃった

この「YELL」を参考音源として改変例として提示していればもっと"新解釈コラボレーション"な意図した通りのアルバムになっていたんじゃないだろうか。「コイスルオトメ」を男性バンドSUPER BEAVERがロックカバーしているというのがある程度面白かったの以外はwacciを除いて女性ボーカルばかりだし、女性シンガーがそれぞれ各自の色で丁寧にトリビュートアルバムしたなぁという以上の印象にはなかなかならなかった。結果、後輩がことごとく遠慮してしまって"新解釈コラボレーションアルバム"と斬新な表現をしたのが完全に誇大広告になってしまった感がある。ほとんどが新解釈なコラボレーションではないと思う。普通にいきものがかり"トリビュートアルバム"であれば普通のカバーとして他の曲もどれも普通にいい

B0CQ28783H

印象度★★★☆☆

2024.3.3更新

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